事業を始める前の判断
フィージビリティスタディとは?投資前に『本当に実現できるか』を確かめる方法
フィージビリティスタディ(Feasibility Study)とは、投資する前に、その計画が本当に実現できるかを調査・検証することです。日本語では「実現可能性調査」と呼ばれます。
まず、なぜ必要なのか
飲食店の店長が「ネット予約システムを入れれば電話対応が減り、売上も増えるはず」と考えたとします。ところが、導入してからお客様がほとんど使わなかったり、既存のレジとつながらなかったりしたら、投資が無駄になるかもしれません。
STEP 1
思いつく
ネット予約を導入したい
STEP 2
調べる
需要・技術・採算・運用を検証
STEP 3
判断する
実施/改善して再検討/見送り
「できそう」という感覚を、投資判断に使える根拠に変えるのが目的です。
実現可能性を4つの視点で調べる
市場・需要
本当に使う人・買う人はいる?
例:予約をネットでしたい顧客はどのくらいいるか
技術
必要な機能を実現できる?
例:既存POS・顧客台帳と連携できるか
資金・採算
費用を賄い、投資に見合う?
例:導入費・月額費用と予約対応の削減効果
運用・体制
導入後に回し続けられる?
例:従業員が予約変更・障害時の対応をできるか
この4分類は理解のための整理例です。対象が海外進出なら法規制や現地事情、公共事業なら社会的な影響など、案件に応じて調査の観点は増えます。
フィージビリティスタディとPoCは同じ?
同じではありません。フィージビリティスタディは事業全体の実現可能性を見極める調査です。一方、PoC(概念実証)は「技術的に本当に動くか」など特定の仮説を小さく試すことです。PoCの結果をフィージビリティスタディの判断材料にすることもあります。
例:ネット予約システムの検討
PoC:「レジとの予約データ連携が動作するか」を試す。
フィージビリティスタディ:「顧客は使うか・費用は回収できるか・運用できるか」も含めて導入可否を判断する。
数字を触って、導入前の判断を体験する
INTERACTIVE LAB
ネット予約導入の実現可能性を調べる
以下は説明用の仮定です。数字を変え、採算が成り立つか確認してから、必要な証拠をそろえましょう。
月間効果
60,000円
月間純効果
10,000円
単純な投資回収期間
90.0か月
計算:月間純効果=利用件数×1件当たり効果−月額費用。回収期間=初期費用÷月間純効果(正の場合)。税金・割引率・売上変動等は考慮しない簡易モデルです。ここでの24か月は教材上の仮の目標です。
現時点の評価(教材上の目安)
追加調査が必要
利益の見積もりだけでは実現性を判断できません。市場・技術・運用の裏付けが必要です。
似た用語の見分け方
| 用語 | 何をする? |
|---|---|
| フィージビリティスタディ | 事業を始める前に、実現できるかを多方面から調べる |
| デルファイ法 | 専門家への反復アンケートによって予測・意見を収束させる |
| ブレーンストーミング | 批判を控え、自由に発想を出し合ってアイデアを増やす |
| プロダクトライフサイクル | 商品が導入・成長・成熟・衰退する過程を考える |
元の問題を理解する
令和6年春期 午前 問69の正解はア。「新規事業・海外進出・公共事業・情報システムの導入などについて、投資前に実現性を調査・検証する評価」という記述が該当します。
イはデルファイ法、ウはブレーンストーミング、エはプロダクトライフサイクルの説明です。
結局、フィージビリティスタディは「お金と時間を大きく使う前に、事業が成立する根拠を確かめること」。